2013年6月29日土曜日

タイで働き始めて半年が経って思うこと〜何故日本でまず3年か?〜



新卒で入った会社を半年で辞め、タイに飛んでからはや半年。既に日本での勤務経験よりタイでの勤務経験の方が長くなってしまった。
そん中、タイで半年働いて分かったこと、特に、何故アジア就職関連の記事等にはまず日本で3年働けといった文句が蔓延っているのかということについて自分の意見をまとめておきたい。

-日本とタイで働いて得られるものの違い-
まず、日本で働いた時に得られるスキルと、タイで働いた時に得られるスキル経験知識には雲泥の差があるということだ。

一般化してしまうと、日本の社会人とタイの社会人では月とスッポンの差がある。それは単純に時間を守るとか、責任感があるとか、そういった次元の話ではない。
例えば営業という職業を例に簡単に言ってしまうと、タイ人営業はどの会社でも単なる物売りにしか過ぎないが、日本人営業はどこ会社に行っても大抵ソリューションを提案できるのだ。
例え売っている物が鉛筆だとしても、日本で勤務経験のある人間はその商品に対して知識を豊富に持ち、顧客の要求を聞き出し、適切なモデルを提案することができる。これはまぎれも無いホワイトカラー層の仕事である。しかしながら、タイ人営業は本当に、純粋に、単なる物売りなのだ。それはむしろホワイトカラー層の仕事と言うよりブルーカラーの仕事ではないか?と思う程ある。顧客より引き合いを受けたら、言われたものを出すだけで、特に提案もせず、価格を出すだけである。価格が高いと言われればそれまでである。価格表や提案書の作成ができるのは相当優秀なタイ人でも多くはないだろう。そういった文化がないし、何故それが必要であるのかが分からないからだ。

日本等の先進国はビジネス文化が成熟しており、あらゆることに対してルールが決まっている。提案書と言われれば大抵の日本人はどういった物を作成すればいいか相互の暗黙の了解があるが、タイにはそういった文化は根付いていない。
もっと例をあげれば、日本人営業は例えば営業のことだけではなく、社会や会社の仕組みをよく知っているし、むしろ営業の仕事だけではなく例えば購買や、経理等の知識を持っている人も少なくなく、それを営業の仕事に生かすことのできる人も多くいる。ビジネスの考え方が蓄積されており、それが非常に浸透しているのである。

何が言いたいのかというと、日本等の先進国で働くということは、世界のビジネス界で戦って行ける十分なスキル経験知識を得られるということである。日本に関しては世界トップクラスだと断言できる。タイという国で5年働いたとしても、身に付くものは日本のコンビニでバイトをするよりももしかしたら少ないのかもしれない。それほどタイの社会人というのはブルーカラー的な要素が未だ強いのである。

-何故日本で3年か?-
アジア就職に関して、まずは日本で3年働けという文句をよく見るのは、つまりこういうことだ。タイで働く3年と日本で働く3年は身に付くものの次元が違う。
幸い、アジアで日本人が働く企業は日系企業がほとんどであるから、日本で働くのと変わりないものを得ることができる。先輩社員に「タイではここは適当になっているけど本当はこうじゃなくちゃいけないんだ」と言ったことを教えてくれる。そもそも日本人同士のビジネスでは「本当はこうなんだけど、タイだからいいや」という暗黙の了解が数多くあり、タイでしか勤務経験がなければそういった暗黙の了解にも気づく事ができず、それを教えてくれる人がいなければはやりビジネスマンとして得られる物は少なくなってしまうだろう。

-アジア就職をどう考えるべきか?-
結論から言えば、アジア就職でも日系企業及び先進国系企業で働くのであれば新卒からでも全く問題ないと考えている。それはいくらタイとはいえ日系企業同士の取引は日本のビジネス文化が自然と適応されているし、タイで育ったタイ人がタイ企業で働くのとは訳が違うからだ。
日本で3年働いてからという方がよりベターだとは考えるが、25,6歳でタイのアジアの給料で満足できるか?という所に論点は絞られると思う。世界で終身雇用という考えは皆無なのだから、まずアジアに出て、国際的な場で働く感覚及びセンスを身につけ、早々に外資系などに転職するという考え方も、アジア就職にはあって然るべきだ



2013年6月24日月曜日

誠実さ(Sincerity)に欠ける日本人たち


私は物心ついた時から自分に正直に生きて生きてきたつもりである。
嫌なことは嫌だと言って、間違ってることは間違っていると言って来た分、随分と損な人生を送って来たようにも思えるけれど、自分の感情や意見を人に強制させられるぐらいならその方がマシだと思って生きてきた。
特に日本の様なハイコンテクストかつ集団主義を重んじる社会では、納得いかない事柄に関しても「そういうもんだから」とか「今までそうやってきた」等の理由で議論すらを拒否されることが数多くある。 

中学生の頃、英語のテキストの中でSincerityという言葉に出会った。辞書には「誠実」との訳。
当時は何の疑問も持たずSincerity=誠実と丸暗記していたけれど、英語を通し英米の文化を学ぶにつれ、それは日本における誠実という意味合いからは掛け離れているものだということを理解した。
掛け離れているのも当然、日本語という言語にSincerityに近い言葉は存在しなかった。最も近い言葉が「誠実」であるためそれが便宜上訳語に用いられているだけだ。(もっとも全ての言葉がそうなのだけれど)

 その違いを辞書の定義を見ながら説明してみよう。 まず誠実という言葉を国語辞典で引くと以下の定義が出てくる。 
 せい‐じつ【誠実】 [名・形動]私利私欲をまじえず、真心をもって人や物事に対すること。また、そのさま。「―な人柄」 

  一方で、Sincerityの定義はおおよそこうである。 
  sin·cer·i·ty [sin-ser-i-tee]noun, 
 "freedom from deceit, hypocrisy, or duplicity; probity in intention or in communicating; earnestness. "
 (欺瞞や偽善、二枚舌からの自由な状態。コミュニケーションにおいて正直で真剣な意思があること)

もっと分かりやすい定義で言えばこうである。
 "Sincerity is the virtue of one who speaks and acts truly about his or her own feelings, thoughts, and desires."
 (自らの感情、考え、希望について何ら偽りもなく話すという美徳) 

誠実という言葉が私利私欲をまじえず、つまり自らの感情や意見をこれ見よがしにひけらかさぬという点が主要なポイントになっているのに対して、 Sincerityという言葉は何がどうあろうと自らの思った事を話すという点に主眼がおかれている。
つまり、誠実という言葉には「彼は接客中 客に暴言を吐かれたが、誠実に対応した」といった様に、自らを押さえながらも 平常心を保ち真面目に物事に打ち込むというニュアンスがあるのに対し、 Sincerityには「彼はクラスメイト全員から非難されたが、自分の気持ちに誠実であった。」 などという様に、例えそれが間違いでも悪いことでも自らの心情に正直にいるという美徳こそがSincerityの胆そのものなのである。誠実という言葉とは正反対と言っていいほど掛け離れている概念であることが分かるだろう。

 私はこの概念を知ってからより強く自分にSincereでいようと心に決めた。 会社で半ば強制的な飲み会に誘われようとおかしいと思えば断るし、お酌はしたくないからしない。 お酌をすることが、自分に対する裏切りであり、偽善であるからだ。 例えお酌をしないことでいくら暴言を吐かれようとも、自分の心にもっと正直に生きることが、自分にとっての幸せだと感じている。 日本語にはこのSincerityという概念が存在しないため自分をないがしろに生きがちだが、 日本人はこの概念を理解し自分の為に生きる人がもっと増えても良いのではないだろうか?もっと自分を犠牲にせず、正直に、人に迷惑をかけても自分に誠実に生きるべきなのではないだろうか?
「人に迷惑をかけないように生きる」という日本のお決まりのフレーズよりも、「あなたは人に迷惑をかけて生きているのだから人を許しながら生きなさい」というインドの諺の方が身にしみる。

明日からももっと自分に正直に生きたい。 

(画像訳:君がどんなにこの二匹のクマが愛し合っていると"誠実"に思っていても、君は間違っている。例え君が"誠実"でも。だってクマは生きてないから。)

2013年6月15日土曜日

アジア現地採用という"意味"


現地採用という言葉は、日本語にしかない。それは、日本という文化の文脈の中で生まれた言葉だからだ。海外にある日系企業を頼り、その現地で雇ってもらう。こういった社会背景の中から生まれた言葉だ。
その言葉通り英語に訳せば、local hireとか、local employeeとかになるだろう。
しかしながら、現地採用という言葉には、特に「アジア現地採用」には多くの言外の意味、含蓄(Connotation)がある。 

というのも、アジア現地採用とは発展途上国に日本より格段に低い給料で就職することを暗黙の了解としているのだ。
それが現地採用という言葉が持つ「言外の意味(Connotation)」である。 
アジア現地採用にマイナスのイメージが伴うのはこのためだ。

@mota2008さんの「もりぞう海外就職紀行」によれば、
アジアでのそれぞれの新卒の給与は、
タイ...                13~14万
ベトナム...        12~14万
インドネシア...12~16万(+住宅手当5万程度)
マレーシア...    13万
シンガポール...18~21万
香港...                15~25万

となっている。
シンガポールや香港においては、条件によっては新卒で20万を超える可能性もあるため、「所謂アジア現地採用」という含意の範疇からは少し外れるかもしれない。

一般的な感覚から言えば、こんな低い給料で働くなんてありえない。となるのだろう。無論、シンガポール香港以外では、現地人からしたら相当な給料になるわけだが...。

だからといって、ずっとこの給料のままではない。
アジアでも当然転職してキャリアアップという風潮があるため、
実力があればどんどん上に這い上がることは可能だろう。
タイベトナムなどで最初働いていても、経験を積んでシンガポール等に就職し、日本並の給与に戻ることは可能だ。もちろんヨーロッパ等の先進国で就職すれば日本以上の給与を得られることは言うまでもない。

僕は今の段階では3年~5年の間はタイで働き、次はシンガポールで働いてみたいと思っている。
つまり、この数年の間低い給与で満足できるか?という話である。

答えはイエスだ。給与に関して言えば、物価を考えれば十分な生活ができる。家賃は二万弱からあるし、屋台を使えば一食70円程度だ。貯金は十分にできると考える。
それに、お金のためにタイに行く訳ではない。海外で働きたいから、海外でキャリアを積みたいから行く訳である。
僕にとって、日本で働いていた期間はギャップイヤーだった。これからが自分のやりたいことをやる人生であって、日本で働いていた期間はいわゆる学生のギャップイヤーのような感覚だったのだ。
これからが本番である。

やりたいことをやって、お金を貰って、海外でのキャリアを積める。最高じゃないか。
時々、何故ヨーロッパではなく、アジアなのか?と聞かれることがある。それはアジアが好きだからという理由もあるが、やはり最大の理由はアジアが発展しているからである。21世紀はアジアの時代である。
 経済が落ち込んで来ている日本とは違い、アジアはバブルだ。日に日に成長している中で生活し、仕事をするというのは相当の充実感があるだろう。
要は考え方だ。まずはやってみなければ分からない。
 
 


 




2013年6月9日日曜日

タイ現地採用の給料とキャリアパス


タイでは外国人の為の最低賃金というものはありませんが、労働許可証等を更新する際の基準として以下の通り所得水準が定められています。
 
 No. 国籍 最低所得(月)
1 ヨーロッパ諸国(ロシア除く)、オーストラリア、カナダ、日本、アメリカ 50,000バーツ
2 韓国、シンガポール、台湾、香港 45,000バーツ
3 アジア諸国(日本、韓国、シンガポール、台湾、香港、カンボジア、ミャンマーラオス、ベトナム除く)、南アメリカ、東ヨーロッパ、中央アメリカ、メキシコ、南アフリカ 35.000バーツ
4 アフリカ諸国(南アフリカ除く)、カンボジア、ミャンマー、ラオス、ベトナム 25,000バーツ

日本国籍の場合はNo.1に該当しますので、最低給与は5万バーツ(約16万円 *2013年6月現在)になります。

基本的にタイの人材紹介会社に登録すると5万バーツ以下の求人を紹介されることはほとんどありません。
(コールセンターなどはそれ以下の給料で日本人を雇っているみたいですが...。)
 大体数年から十数年の経験のある人でも現地採用だと5万〜8万バーツぐらいですが、逆に経験がなくても5万バーツの給与は保証されていることになります。新卒でタイに就職し、 5万バーツ+残業代が1万バーツついたとして、給与は6万バーツ(19万円)。家賃は大体1万バーツ(3万円程度)のアパートやコンドに住み、食費は3000バーツ(1万円程度)ぐらいですので、何もしなければ10~15万円は貯蓄にまわせることになります。

ただ経験を積んでも日系企業だと給与は10万バーツぐらい(31万円程度)が限界(とってもタイでは相当な高給取りですが...)だと思いますので、キャリアパスとしては2~5年程度経ったら外資系に転職するのがベストかなと思います。

やはり外資系ではタイでも10~15万バーツ(31~47万円)の給与を出しているとこが少なからずある様です。(というよりタイ人でも日本語ができる経理担当だとこれぐらい貰ってる方もいますが...日本人は英語ができないので高いお金を払っても日本語ができるタイ人を雇う他ないのかな?とも思います。)
話は少し脱線しましたが、タイで10~15万バーツの給料があれば割とゆったりとした生活が保証されると言えるでしょう。子供が2人いるとかなら別ですが、コンドミニアムも買えますし、タイには固定資産税も相続税もありませんのでお金の心配はまずなくなるかと思います。

結論として、将来外資系やシンガポールでの就職というキャリアパスがあれば、はっきり言って新卒でバンコクで働くことは全く悪くないのではと思います。逆に将来はずっと日系企業に頼って生きて行くという考えですと、なかなか「現地採用」という日本独特の枠組みから逃れられません。
日系企業では未だ駐在員で上のポジションが固められていますので、外資系を将来のキャリアに見据えておくことは必須だと考えています。
タイという海外に来てまで日本にすがって生きるのもなんだかかっこ悪いですしね。

とまあ、ざっと感じていることを書いてみました。