2012年11月12日月曜日

僕が会社を辞めて、バンコクに行った理由


10月10日。僕は4月に新卒で入社したばかりの会社を辞めた。

この国の世間の人は、恐らく僕を忍耐力がないとか、甘えてるとか、そういう風に思うだろう。

でも僕はそうは思わない。

僕にはやりたいことがあるからだ。

中学の頃、オーストラリアのパースという街にホームステイしてから、僕は海外に住みたい、海外で働きたいという夢を持っていた。
漠然とした夢だった。
高校時代は必至に英語を勉強して、大学時代はずっと行きたかった留学にも行った。
大学には100カ国以上から来た外国人がいて、周りの日本人も海外に出てみたい、という奴ばかりだった。

そんな環境で育ったこともあって、
会社は駐在員を募集している会社にしようと思った。

だからその会社に入った。

人事部は3年後には海外に行けると言ったが、
やはり現実は甘くなく、営業部の部長には、「10年は行かせない。経験のない奴が行っても意味がない。」と宣告された。その会社は、人事部と営業部で大きく考えの違う所があり、更に営業部が圧倒的に力を持っている会社だった。

それから、僕は働きながら、自分はここで何をやっているのだろうと考えるようになった。

朝7時20分に出社し、1年生の仕事と呼ばれるオフィスの掃除、ゴミ捨て、机を拭くための雑巾配り。
朝礼では全員の前で体操を行う。

本当に、何やってるんだろう?と思った。

仕事内容は楽しかった。給料も一般的な社会人1年目にしては良い方だっただろう。
お客さんも変な人はいない。

でも、会社の飲み会で席順を作ったり、幹事をやったり、接待に行ったり、お酌をしないと頭を叩かれたり、本当に、「俺は今ここで何をやっているんだろう?」と思った。

海外勤務を約束されていたら、我慢できただろう。
海外でそのような事があっても、我慢できただろう。

でも、海外に行くという保証はない。

社内の人には理解され難かったが、それほど僕は海外で働きたい。
その事自体がアイデンティティなのだ。

ある週末の日、パーティに出かけた。
そこであるアメリカ人に出会って、仕事について話をした。
「僕の夢は海外で働くこと、でも今の会社じゃそれができなさそうなんだ。」と言うと、
「??? Then why don't you change the job?」と、純粋にシンプルに彼は言った。やりたいことをやれとも言った。

アメリカ人がこういった類の事について語るとき、世界には右に出るものはいない。正義とか、夢とかね。

こういう言葉にも出会った。
 “Twenty years from now you will be more disappointed by the things that you didn't do than by the ones you did do. So throw off the bowlines. Sail away from the safe harbor. Catch the trade winds in your sails. Explore. Dream. Discover.” - Mark Twain


 数日後、僕は会社を辞めた。
上司に相談すると、すぐに部長に伝わり、「お前は甘ったれだ」だの「お前は先輩や上司や俺や会社を裏切った」だの「お前はもう二度と社会復帰できない」だの暴言を吐かれたあげく、
「お前はもう明日から来なくていい」とドラマ張りの発言をされた。僕はすかさず
「ありがとうございます。」と言ってその場を去った。
結局、それが最後の出勤日になった。

人事部にも、「もう二度とお前の大学から取らないぞ」「辞めるという意味がわかってるのか?」などと言われた。勿論、 
「ありがとうございます。僕の大学からは是非二度と取らないで下さい。その方が良いと思います。」
と言った。でもこれは本当の事だ。後輩にはこの会社に入って欲しくない。
さようなら。


やりたいことをやる。海外で働きたい。給料が半分でも良い。
 日本人は日本で働いてた方が守られているし、幸せかもしれない。

現地採用なんて所詮使い捨てだとか、現地採用に未来はないとか、そんな低い給料で良く働けるねとか、ネットにはよく書かれてたり、人々にはそんなことを思われているのだろう。

でもそんなのやってみなきゃ分からないし、それがやりたいことだからしょうがない。どの道それしかない。


すぐに航空券を予約して、10月28日、タイに飛んだ。(候補地は香港、シンガポール、タイだったのだが、何故タイなのかは、今後の記事で書いていくことにする。)

持ち物は、バックパックと、スーツや靴を入れたユニクロの紙袋。

バンコクに着くなり、速攻で人材派遣会社を訪問して、
(バンコクでの就活についても今後書く。)

面接を行い、これから随時気になった案件に応募していくという流れになった。
結局、20社ぐらいに応募して、10〜15社ぐらい面接が入った。
面接では、「君みたいな人が欲しかった。」とか、「是非うちに来て欲しい」とか「日系企業っておかしいよね」とか言われて、つい最近まで否定され続けてた自分が、少し肯定された気分になった。

結局、引っ張りだこの就活は数週間で終わった。
というより、自分の希望にあった会社があったので、終わらせた。
残りの面接は全部蹴った。

アジア含め、ここタイでもバブルである。
就活は完全に売り手市場で、職は選ぶほどある。
 就活関連の話はまたするが、来てみないと分からない事って、本当に凄く多い。

ネットに書いてあることなんて、やはり信じない方が良い。
嘘だったり、情報が古かったりするから。
自分の目で見ないと、本当のことは分からない。
スナフキンもこう言う。
「 僕は自分の目で見たものしか信じない。けど、この目で見たものはどんなに馬鹿げたものでも信じるよ」

そんなこんなで、
来月からタイで働くことになる。
現地採用としての厳しい現実や、来てよかったことなど色々出てくるだろう。そういうことを後輩達に伝えていって、現地採用がキャリアの一つの選択肢になってくれたらとても嬉しい。


とりあえず、これが僕が会社を辞めて、バンコクに行った理由だ。